化学室は一年生のクラスのある校舎とは
べつの校舎にあって、
わざわざ中庭を通ってまた三階まで上がらなくてはいけない。


ちょうど中庭を抜けて
階段下に来た時。

数人の女子生徒の声。


思わず、足を止めた。


「七瀬さんってさぁ、鈴原とどーいう関係なんだろ?
入学式の日に七瀬さんが倒れた時も
鈴原が抱きかかえて
保健室つれてったじゃん?」

「それ、あたしも気になってたー!」

「てか、七瀬さん、病弱なのアピールしてるみたいでちょっとウザいよねー」

「わかるー(笑)」



…え?
倒れたわたしを運んでくれたの、
鈴原くんだったの?

……それに
わたし病弱なのアピールなんて
してないのに。

わたしは周りからそんな風に思われているのかと思うと悲しくて、
気づけば目に涙がたまっていた。