微動だにしないわたしに
もう一度、

「ごめん」

と呟くように言って。
鈴原くんは帰っていった。


わたしは。ひとり立ちすくんで。


どのくらいそうしていただろう。
びゅうううっ

風が髪を吹き上げたことで
やっと動き出した脳。

ふらふらとわたしは鞄をもって
帰った。