もう一度君と、コンテニュー

痴漢をしていた男性は、車掌さんに連れていかれた。
現行犯逮捕だそうだ。




「2人ともお疲れさん!怖かったねー、もう安心!」



よしよしと頭を撫でてくれた玲部長。


なんか面倒見のいい、お兄さんって感じがする。落ち着くし。



「玲も、貴方も、ありがとうございました!
私、黒滝まどか(くろたき まどか)っていいます!」


玲?

知り合いなのかな…


「い、いえ、どういたしまして…
私は佐倉千夏です」



「ん?千夏ちゃん、そんな複雑そうな顔してどうしたの?」


「えっ、いや…玲部長とまどかちゃんって、付き合ってるんですか?」


下の名前…しかも呼び捨てで…


「そうだよ」


「え!!」

「違うよ!?」


焦ったように、まどかちゃんが言った。


「玲じゃない!!もっとかっこよくて優しい人!」


「まどか酷い!」


な、なんだぁ、付き合ってないのか…



それよりも玲部長、一瞬だけ表情が暗くなったような……



「それよりもさ!千夏ちゃんが良かったらなんだけど、
ちゃん呼び、やめて欲しいな。同い年でしょ?」


そのようだ。ネクタイは私と同じ色。


「まどか…ね。
私もそう呼ぶよ」


そう言うと、まどかは頷いた。
まどかは仕草の一つ一つが本当に女の子らしくて可愛い。



「ほらほら、遅刻する前に行くよ!」


玲部長の顔は、笑顔だった。




…馬鹿な私は、気付かなかった。





「…俺なんかじゃやっぱり………」


玲部長が零した独り言は、周りの雑音に溶かされた。