あーーーーーもうなんなのあいつ!!」

七瀬春奈。怒っています。

何が黒王子だ!あんな悪魔みたいなやつ誰が王子って言ってやるもんか!!

出会い方も最悪、態度も最悪。一体みんなどこが良くて好き好き言ってんだか。

……帰ろう。

「はあ……ってあれ?!うそない!!?」

嘘でしょ、、あれはお気に入りのストラップなのにーー!!!

そうこれは小さい頃に私の初恋の男の子からもらった大切なストラップなのである。

何年も前にもらったもので色褪せてはいるけど、おそろいのくまのストラップ。

私のはリボンのついた女の子のくま。
あの子が持ってるのは蝶ネクタイをつけた男の子のくま。

どーーしよ、、すごく大切なものなのになー、、

「とりあえず来た道戻って探すしかないか!」

慌てて来た道に戻って黒王子改めて海斗くんとぶつかったところなど下校道を探してもそれらしきものは結局見つかりはしなかった。

肩身離さずつけてたストラップ。悲しいけど仕方ないよな、、

「あの子元気にしてるのかな。」

幼稚園の頃から何をするのにも一緒な子。

『将来僕ははるちゃんと結婚するんだ!』

『うん!私もかいくんと結婚するの!』

そんな小さい頃に交した約束も儚く破れ、小学校3年生の頃突然私の目の前から居なくなった子。

私の初恋だった。

いつも優しくて頼りがいがあって、私が泣いている時も一目散に駆け寄ってきてくれて、、

『はるちゃんは笑ってた方が可愛いよ!』

決まってそう言ってくれたんだ。

……また会いたいな。

━━━━プルルルル、プルルル。

ん?お母さんからだ。

「もしもし、お母さん?」

「春奈!あんたいまどこにいるの?帰りにスーパーで卵買ってきてってお願いしたじゃない!!!」

「あ!忘れてた!今帰るから!じゃあ!」

「ちょっと!はる…ブチッ」

やばい!まだスーパー行ってない!急げーー!!!
慌てて私はその場をあとにした。