「黒王子か…。」

誰なの。一体。

まあいいや。おやすみなさい。

由香里に言われた「黒王子」という言葉がとても心の中で引っかかってたが考えてもわからない。

次の朝。

「ねえ、由香里。」

「ん?なに?」

「黒王子のとこにつれてって。」

「…は?」

会ったことないんだもん。

どれだけかっこいいかわかんないじゃん?

「え、だから黒王子のところに行きたいの!どんな人が知るために!」

「えー、うん…わかった。」

「なんでそんな嫌々なのさ!」

「だって黒王子だよ?そんな神みたいな存在の人の元へ行くなんてほかの女子が黙ってないじゃない。」

「おねがい!由香里!」

私は必死にお願いした。

「はいはい。わかったわかった。」

私と由香里は運悪くまた同じクラスになれなかった。

神様はちょっと残酷だ。

そしてどうやら黒王子は由香里のクラスにいるらしい。

昼休み。

早速わたし由香里のクラスに行った。

「あ、あの人だよ!黒王子。」

「あ…」

遠くからでもわかった。

あんなに整った顔の持ち主はいるだろうか。

だけど祐みたいな爽やかオーラはなく誰も話しかけるなオーラが漂っていた。

「な、なんか怖い感じだね。」

「またそこがいいんだよ!クールなところが!」

うーんそうだろうか。

わたしは祐の方が感じよくていい気がするけど…。

「へえ、すごいね。うん、よし帰る。」

「え、もういいの。」

「うん、もういいや。ばいばい。」

なんかな…予想してた人と違くてがっかりだ。

今日は由香里は用事があるらしく久しぶりに1人で帰っていた。

「王子様ほんとにいないのかな…」

そんなことを呟きぼんやりと考えながら歩いてると…

「いたっ」

誰かにぶつかったみたいだ。

「ご、ごめんな…」

「いってぇな…どこに目つけてんだ?」

「え……ってああ!!」

そこにいたのは黒王子だ。

「く、黒王子」

「あ?お前もそんな名前で呼んでるのか?」

「いや、べ、べつに…」

「ったく…俺にもちゃんとした名前があるんだからそれで呼べよな…いちいち黒王子黒王子うるせぇんだよ。」

「え…そこまで言わなくても…」

「あ?なんだお前まさか俺に逆らう気か?」

「…は?」

え、なにこいつ。

王子とかけ離れてるよ。

性格悪すぎでしょ!

「…ん?そんなに見てどうしたんだ?あ、まさか俺に惚れたか?」

「は?そんなわけないでしょ。」

おまけに自意識過剰。

誰がこんなやつ好きになるか!

「まあどうでもいい。」

「…は?」

むっかつくー!

「ところでお前名前は?」

「な、七瀬春菜だけど?」

「七瀬、か。俺は北村海斗だ。適当に呼んでくれ。」

「え、あうん。」

「黒王子とか言うんじゃないぞ。」

「誰が王子なんて…」

「あ?なんか言ったか?」

「いや、別に。」

「ああそうか。それと俺を好きになんなよ。じゃあな。」

そう言うと北村海斗は去っていった。

…なにあいつ。

あ、あんなやつ…

「誰が好きになるかー!!」