『博孝、別れましょう』

椿紗にそう告げられ
僕は何故? と思い問い返した。

『椿紗……何で……』

その問いに返ってきた
答えに僕は愕然とした。

『貴方は私を誰かと
重ね合わせて
見ているようでしたから』

僕が椿紗を?

ある一つの考えが
頭を過った瞬間、
僕はこの二年間
椿紗に対して
なんて残酷なことを
していたのだろうと思った。

『…………』

何も言えずにいると
椿紗がもう一度言った。

『別れましょう』

それだけ言うと
マンションを出て行った。