「まっちゃ~ん。お腹が減って力が出ないよぅ」

「…お前が曲とか思い付いてくれないから給料が入らないよぅ」

「…すみません」


俺は、シンガーソングライターのマサフミのマネージャー。

弟のように可愛いマサフミが結婚するらしい。

俺は、彼女を待たせたまま。


「何が食べたいんだよ」

「丸々亭のチャーハンセット」

「…餃子付き?」

「できれば」

「昼飯にするか」


俺は、マサフミを大切に育てて来て、そこそこ売れて。

何の必要性があって「彼女」に結婚は待ってくれなんて言っているのか自分でも分らない。

きっと、俺に勇気がないだけだ。


「マサ、結婚楽しみ?」

「楽しみっていうか、咲子との関係の延長戦がそれだったって感じかなぁ」

「お前、生意気言うようになったな」

「だろ?」


ちょっとかっこいいと思ってしまった。

まぁ、そんな発想から良い歌詞が書けるのかななんて、そこでも仕事人間な俺。