ただ、強く抱き締められている。


「チィくん…」


その温もりに、チィ君の匂いに胸がキューッてなって、涙が止まらない。

これはきっと、嬉し涙だ。


「連絡しないでごめん」

「うん」

「その方が真弥のためだと思った」

「うん…」

「でも、俺が会いたくて会いたくて、我慢できなくなった」

「チィ君…」

「真弥、ごめんな?…愛してる」


チィ君の声が心地良い。
大好きなチィ君。
私たちの気持ちは、高校生で止まっていた。

でも、今確実に動き始める。

私たちはもうちゃんてした“大人”なんだ。


「…私のこと、好き?」

「うん」

「私もチトセが大好き」

「うん…」


チィ君が私から少し体を離して、静かに、息をするように言った。


「結婚、しようか」

「うん…」


私は不意にマサフミさんのラブソングを思い出した。


『それでも隣りにいて欲しいのは君だから。飾らない言葉で言うよ』

『死ぬまで一緒にいよう』






「チトセ」

「ん?」

「大好きよ」