-7年後-



25歳。


「真弥、早くしろよ」

「ごめんって。今日はなんと昨日買ったドレスを着ているのです」

「お前、また無駄遣いして」

「キョウスケだってこの前、何インチか分んないくらい大きなテレビ買ったじゃん!?」

「あれは子どもに迫力のあるアンパンマンを見せるためだ!!」


キョウスケには綺麗な奥さんと3歳になる子どもがいる。

奥さんは、大学時代に知り合った人で私とも顔見知り。

たまにこうして、キョウスケを貸してくれる。


「お前、ケバいな」

「はぁ!?」


貸して、なんて言葉が悪いか。
私たちが親友だとしっかりと理解してくれている。


「お前、彼氏は?」

「ん?ん~…」

「また別れたの?」


また、なんて言わないで欲しい。
付き合ってなんかない。

あれから7年、良い人が現れても付き合うまで事が運ばない。

『チィ君』以外を好きになれない。
…ならない。

それが私の意地であって、チィ君を待つという意思の現れ。