-チトセさいど-
若菜さんと別れた日に、真弥に告白されて答えられないまま1年がすぎて、俺はいつしか真弥を好きになっていた。
真弥に何も言わずに決めたアメリカ留学。
真弥はきっと実家から通える短大に進学するんだと思う。
永遠の詩―…
真弥?
俺はこれをいつも君を思い浮かべながら聞くんだよ。
『ケンカした日も、裏切られたと泣いた日も、思い出だと思えるのは相手が君だったから』
『僕の隣りには君がいる。君じゃなきゃダメなんだ。愛してるなんて言葉じゃもう、伝えきれない』
留学を伝えた時、泣きじゃくる真弥を慰めてやれない。
ただ、抱き締めた。
真弥も気が付いたんだよね。
これが『さよなら』を意味するんだって…。
「おい、チトセ?」
「え?」
「また真弥ちゃんのこと考えてたろ」
「ははっ」
親友のキョウスケの言葉。
「なんで待ってろって言わなかったわけ?」
真弥は待っててくれる。
だけど、縛り付けるみたいで嫌だった。
真弥にも俺以外と恋愛をする権利はある。


