チィ君は、高校に入る前から考えていたんだって何回も私に念を押した。


「アメリカに留学しようと思ってるんだ」


それは短くて4年間。
長くて6年。

私はてっきり、チィ君は一生私の側にいてくれるんだと勘違いしていた。


「なんで?」

「日本から離れてみたい」


それは、私とチィ君が二人で聞いたラブソングの中には描かれていなかった物語。


「留学…?」


事態が飲み込めない。
飲み込めないまま、涙が溢れた。


「真弥!?」

「嫌、嫌だよ…。離れたくない。わがままかな?ずっとずっと一緒にいたい」

「それは…」

「チィ君、私と別れたいの?」


チィ君の未来に、私は邪魔なの?
私にはチィ君と笑い合ってる未来しか見えなかったのに、チィ君はそうじゃないんだね。


「夢、とかそんなんじゃないんだ。出来るうちにやっておきたい。今しかないんだ」

「大学は、アメリカに進学するってことだよね?」

「うん」


チィ君が私の涙を拭いてくれる。
目の下がヒリヒリして、チィ君の顔が良く見えない。