「私、チィ君が好きなんだよ。だからっ、私…最低な女なの!!」


そういう私に、チィ君はただ、いつもの笑顔で言った。


「ありがとう」








そのラブソングを歌っているのは、マサフミっていう歌手の人。

マサフミはそんな昔の名曲!なんてタイトルの番組で取り扱わなくてもバンバン音楽番組に出ている。


「今は全く歌ってないんだよね」

「どんなに依頼されても、年に一度のライブでも歌わないらしい」

「歌ったのは発売から一年間だけでしょ?」

「そう。それくらい特別な人を思いながら書いて歌った曲なんだよ」

「へぇ~」


このCDからわずか二か月後に出した曲もプロポーズの歌で、これは今も歌っているから良く知っている。


「これ、タイトルなんだっけ?」

「永遠の詩」

「私はハナタバが好きだなぁ」

「あれも名曲だけど、永遠の詩はもうマサフミさんが二度と歌わない歌だから余計に心に染みる」


私はまだ、チィ君に対して多少の遠慮があるから、永遠の詩みたいなまっすぐな歌は心が痛くなる。