たまたま、チィ君と仲の良い女子だからと若菜さんのメアドを知っていた。

2日後、私たちは2人で会うことになる。
もちろん連絡をして来たのは若菜さんだった。


「…結婚してたんですね」

「チトセには、黙ってて」

「え?」


黙ってて?
じゃあ、チィ君は騙されてるってことだ…。


「チトセが大好きなの。でも、旦那を愛してる」

「何を言ってるんですか?」

「結婚と恋愛は別でしょ?」


最低だと思った。
私は若菜さんがこんな人だなんて知らなかったし、知るつもりもなかった。

だから、私はチィ君に嘘をついた。
そして、2人を別れさせることにした。





「…は?何言ってんの」


いつも優しい、チィ君の怒った声を聞くのは初めてだった。


「だから、若菜さん結婚してるの」


私はチィ君に「本当」という「嘘」をついた。


「何を根拠に…」

「若菜さんに聞いてみたら?」


チィ君はその場で、若菜さんに電話をかけた。


「若菜…結婚してんの?」

「してないよ…。なんで?」

「なんでもない」


こうして私はチィ君に嫌われることに成功した。