「チトセ!!」

「若菜さん、ごめんね。待たせた?」

「うぅん。大丈夫だよ」


チィ君は2年前、年上の女の人と付き合っていた。

私が知っているのは年の差が7歳だってことと「若菜」っていう名前って事くらいだった。

まだ、この時は…。




それから間も無くして私は「若菜」が人妻だと知ってしまう。

良くある話しか知らないけれど、近所のスーパーで家族4人で買い物をしているのを見てしまった。


「…若菜さん?」

「え、あ…真弥ちゃん」

「…誰?」


旦那さんの痛い視線。


「あ、友だちの妹なの。しかも高校と部活の後輩」

「こんにちわ。旦那さんかっこいいですね」


ひとまず私は、若菜さんに合わせる。
人の家系を壊す趣味なんて私にはないから。


「ふふっ、じゃまたね。真弥ちゃん」

「はい。また連絡します」

「待ってるから」


チィ君は知ってるのかな?
分かってて浮気相手をしてるのかな…。

そう考えて、切なくなった。