「良いから。今、電話してみてよ」

「え?」

「何日も連絡してないんでしょ?たまにはこっちから連絡してみても良いでしょ!!」

「ん~…」


由里に押されて私は結局、電話をかけることになった。

これは、マサフミ君のCDが発売される一週間前の話。






『もしもし?』


今日に限ってワンコールで出るダーリンを恨みそう。

しかも声を聞いただけで愛しくて愛しくて、涙が出た。


『あ、ユウタ…?』

『何。てか泣いてる?』


ちょっとの声の震えで気が付いてくれる。


『うぅん、泣いてない。ユウタ元気かなぁって。次、いつ会えそう?』

『マサのCD、一週間後に出るからそれからかな。あ、いつも通り家にCD送ってやるから聞けよ』

『うん。分かった』


涙は一粒流れただけですぐに渇いた。


『あ、そう言えば恵子…』

『え?』

『あ~、悪い。呼ばれたから切る。また連絡するから、じゃあな』


突然、切れた電話。
ユウタがいう『また電話する』の『また』なんてやって来ないことを私は知っている。