「私も悪かった、あれは。
ウソが下手だから、
連絡すら許されなくなっちゃったんだよ」


あの後、そのことで何度も自分を責めて、
一時は学校にすら行かなかった。


「ううん。俺が悪い。
朝早いって分かっててキャンプ誘ったし、
音信不通になってからも
もっと出来ることあったと思う。」

「そんな…」

彼も、辛かったのだろうか。

「でも、俺、ちょっと信じてた。
夏桜は俺が迎えに行くの待ってるって」

「えっ…?」

「俺は、まだ終わってないつもりだった」

驚いた。

どうしていいか分からなくて、
苦手なビールを喉に通す。

どんどん人気が出て、
私の周りの女子達もキャーキャー言うほどの
人気アイドルになった彼には、
きっと私なんて遊びの一つだったんだって。

だから、忘れられるように
新しい恋しようって…

「父ちゃん言っただろ?
結婚式、悔しくて来なかったって。
あれ、あながち間違いじゃないんだ」

「ねぇ、やめない?」

やめてほしい。
これ以上は、辛いから。


「ショックだった。
夏桜が結婚するって聞いて」

彼は、
私を信じて好きでいてくれたのに…


「あっ、ごめん!
泣かせるつもりはなかったんだけど…」


気づいたら、頬を涙が伝っていた。


「俺、飲みすぎた。
今の話は、なかったことにしていいから」

「そんなことできないよ…」

お酒のせいか、涙が止まらなくて

彼の手が私の頬を包んで、
親指が涙を拭った。