「んで?今、旦那は何してんの??」

顔に似合わず親父みたいに、
そう切り出す彼。

「大阪にいる」

「えっ!?…なに。
結婚したばっかなのに単身赴任??」

「そっ」

「いやいや、"そっ"って…
寂しくないの?」

なぜか、苛立つ彼。

「別に。元々、一人暮らしだったし?
それに、仕事で私も忙しいし」

「ありえねぇ…」

ゴクッと喉を鳴らして、
グラスのビールを飲み干す。

さっきは、気を遣って
めんどくさいことしたくせに、
今は、顎で催促してくる。

「なんで連れてかねぇんだよ?」

「違うのよ。
私が今の職場を離れたくなかったの」

「だとしてもさ…」

少量とはいえ、
普段飲まないお酒が入っているせいか
飲む度に動く彼の喉仏に
妙な色気を感じてしまう。

「…なに。
なんか、顔赤いんだけど?」

「お、お酒のせいじゃない?
あんまり飲む方じゃないから」

「ふーん」

そう言って、立ち上がって
私の隣に移動する。

「な、なに?」

「10年前。勝手に帰ってごめん」

「あぁ…」


どうやら、本題に入るようだ。