え? 何?
自分で言うのもあれだけど、ここは優しい言葉を掛けてくれるところじゃ……。


ぽかんとして彼の顔を見ると、



「そんなに深刻な悩みがあったんなら、もっと早く俺達を頼れよ!」


と怒ってくれた。


怒られてるのに、凄く嬉しかった。



「だって、皆のこと巻き込んじゃうと思うと怖くて」

「だからって一人で悩んでてもお前が辛いだけだろうが。それよりは巻き込まれた方が全然マシだって皆思うはずだ」


少なくとも俺は。と近田君は言ってくれた……。



「うん、ありがとう……」


でもきっと、今まで言えなかった理由はそれだけじゃない。



「私……




皆に嫌われるんじゃないかって。そう思ったら怖かった」


せっかく仲良くなれたのに、中学時代のクラスメイトに脅されてる、なんて。知られたらどう思われるんだろうって考えたら不安にもなった。


だけどそれこそ、私が皆のこと信じてなかったってことだよね。

信じてほしいとか思うなら、私も皆のこと信じないといけないよね。


今は、何よりも信じてる。

私のことを信じてくれた皆のことを。


近田君のことを。



すると。




近田君の右手が私の頭を撫でる。





「今まで、一人でよく頑張ったな」




その言葉に。



一度止まり掛けた涙がまた溢れてきて。




「う……っ、ふえぇ〜」


両手で涙を拭いながら、子供みたいにたくさん泣いた。


近田君はずっと頭を撫でてくれていた。



泣きながら、ふと空を見上げれば、さっきよりも空が綺麗に見えた。



「もう大丈夫だから」


そう言って、近田君は私の身体をそっと優しく抱き締めてくれた。


とても、温かいと感じた。