近田君は「いいのか?」と言って、伊川さんの手元から、自分の箸で卵焼きを掴む。
そしてそれを口に運ぶと。
「ん。美味……」
自惚れかもしれないけど。
お世辞じゃなくて本心からそう言ってくれている感じがして。
何でだろう。伊川さんが〝美味しい〟って言ってくれたのも勿論嬉しかったけど、
近田君から〝美味しい〟って聞けた瞬間は、胸がきゅぅっと締め付けられて、気恥ずかしくて、でもすっごく嬉しくて。
私、近田君の表情、言葉、行動の一つ一つに、凄く惹かれてる……。
「ていうか春日さー、実はギャップ萌え狙ってんのか?」
お弁当を食べながら、基紀君がそんなことを言ってくる。
どういうこと? と聞き返すと。
「金髪でいかにも不良なのに、実は料理出来ます、実はちょっと天然です、可愛いでしょ、みたいな」
「そんなの狙ってないし! そして天然でもないし!」
「男が皆ギャップ好きだと思うなよ。少なくとも俺は、見た目も中身も清楚系女子の松岡さんの方が好みだな」
そう言って、基紀くんは松岡さんの方を向いて「松岡さんって、ほんと〝マドンナ〟って感じだよな。誰かさんと違って」と言った。
「だからギャップなんて狙ってないし、私より松岡さんの方が女の子らしいこと位、私だって分かってるもん! もう、もう!」
私がぷんすか怒ると、基紀くんは堪え切れないと言わんばかりに噴き出した。
そして、班の他の皆もそれにつられたのか笑い出す。
チラ、と近田君を見れば、彼も目を細めて楽しそうに笑っていた。
基紀君にからかわれるのは好きじゃない。
でも。
近田君が笑ってくれるなら、悪くはないかも、なんて。
心臓がまたドキドキと、いつもより早く脈打つ。
そしてそれを口に運ぶと。
「ん。美味……」
自惚れかもしれないけど。
お世辞じゃなくて本心からそう言ってくれている感じがして。
何でだろう。伊川さんが〝美味しい〟って言ってくれたのも勿論嬉しかったけど、
近田君から〝美味しい〟って聞けた瞬間は、胸がきゅぅっと締め付けられて、気恥ずかしくて、でもすっごく嬉しくて。
私、近田君の表情、言葉、行動の一つ一つに、凄く惹かれてる……。
「ていうか春日さー、実はギャップ萌え狙ってんのか?」
お弁当を食べながら、基紀君がそんなことを言ってくる。
どういうこと? と聞き返すと。
「金髪でいかにも不良なのに、実は料理出来ます、実はちょっと天然です、可愛いでしょ、みたいな」
「そんなの狙ってないし! そして天然でもないし!」
「男が皆ギャップ好きだと思うなよ。少なくとも俺は、見た目も中身も清楚系女子の松岡さんの方が好みだな」
そう言って、基紀くんは松岡さんの方を向いて「松岡さんって、ほんと〝マドンナ〟って感じだよな。誰かさんと違って」と言った。
「だからギャップなんて狙ってないし、私より松岡さんの方が女の子らしいこと位、私だって分かってるもん! もう、もう!」
私がぷんすか怒ると、基紀くんは堪え切れないと言わんばかりに噴き出した。
そして、班の他の皆もそれにつられたのか笑い出す。
チラ、と近田君を見れば、彼も目を細めて楽しそうに笑っていた。
基紀君にからかわれるのは好きじゃない。
でも。
近田君が笑ってくれるなら、悪くはないかも、なんて。
心臓がまたドキドキと、いつもより早く脈打つ。


