そうして……
私達は無事に頂上へと辿り着くことが出来た。
元々、頂上に着いた人から各自お昼休みにする様にとの指示だったのもあり、
「基紀! シート敷いて!」
「はいはい、かしこまり!」
伊川さんと基紀君が、空いてるスペースに早速レジャーシートを敷いていく。
「手離しても大丈夫か?」
「あ、うんっ! ほ、本当にありがとう!」
「別に」
私の肩から、近田君の手がゆっくりと離れていく。
足の痛みよりも、肩から彼の手が離れていく感覚に意識が集中してしまった。
何か寂しい……そんなことも思ってしまった。
近田君は自然と基紀君の方へと向かっていく。
松岡さんは、こっちの班で昼食を食べるべきか、いつもの仲の良い友達と食べるべきか少し悩んでいた様子だったけど、堀君が誘ったことで、こっちの班で食べることにした。
私は……
皆と一緒に食べたいけど……
「竹入」
一人その場に立ち尽くしていたら、いつの間にか目の前に近田君がいた。
「どうした? 足そんなに痛いか?」
「う、ううんっ。それは大丈夫……」
「じゃあそんなとこでボーッとしてないで早く来い」
「え?」
「えって何だよ。昼飯食わない気かよ」
私も……皆と一緒に食べていいの?
その質問が出来ない位に、近田君は当然の如くそう言った。
嬉しい。
高校に入学してからいつも一人でお弁当食べていたのに、今日はこんなに大人数で食べられるんだ!
近田君、誘ってくれて本当にありがとう。


