切ない春も、君となら。

とりあえず、コースから少し外れた脇道に移動し、座り込む。

どんどん生徒達が私を通り過ぎて登っていく。

多分今、私が最後尾。


とりあえず、足を何とかしなきゃ。
せっかくの学年行事だし、途中で棄権はしたくないな。


私はリュックから湿布と包帯を取り出す。

私鈍臭いから、足捻ることもあると思ってしっかり持ってきたんだよねー!

靴と靴下を脱いで、湿布を貼る。
ひんやりと冷たさが覆う箇所を、更に包帯で巻いていく。


……何やってるんだろう、私。


友達作ろうとしていたはずなのに、一人でこんなことしてる。

友達作ろうとしていたはずなのに、気を遣ってくれた近田君を自分から遠ざけた。


こんなんじゃ、友達なんて出来るはずないじゃん。


思わず、涙で視界が滲む……。


その時。



「巻き方が違う」



その声に驚いて顔を上げると、そこには……先に行ったはずの近田君の姿があった。