切ない春も、君となら。

「そして多分、堀は松岡さんに惚れてる」

ああー、と自然に声が漏れる。

確かに、そんな感じする!
堀君、頬赤いし、言葉もつっかえつっかえだし。

ただ、松岡さんの方は平然としているから片想いなんだろうけど……。


「えっ、松岡さん、ハ、ハイキングの班決めで、こ、困ってるの?」

「そうなの。仲の良い子達はいるんだけど、四人グループだから……。
私以外の三人は同じ中学出身で仲が凄く良いから、女子三人で一班っていうと私が余っちゃうかなって」

堀君と松岡さんのそんな会話が聞こえてくる。

そうか。友達がいても班が決まらないこともあるよね。

すると堀君が突然。


「そ、それなら俺たちの班に入らない⁉︎ ちょうど女子があと一人足りなくて困ってたところだったんだ!」


と、誘った。


ええー堀君!
さっきまで完全に私とかかわらないスタンスでいたくせに、いつの間にか私、この班決定?

いや、どんな理由であれ班に入れてもらえることは勿論凄く嬉しい、けど……。


「えーやっぱりこの金髪も同じ班なのー?」

伊川さんは未だにこう言っているし、松岡さんも……



「……よ、よろしく」

一瞬だけ目を合わせ、小さな声でそう挨拶した後は、パッと目を逸らされた。

だよね! 松岡さんみたいな清楚で真面目そうな女の子は、私みたいなのと同じ班になんてなりたくないよね!


……でも周囲を見渡せば、他のクラスメイト達も班を完成させている様子が伺えて〝私は他の班に行くよ〟とは言えない感じ……。