風の歌






…あれ?
私……痛くも何ともないよ?


そーと恐る恐る目を開ける。


‥え!?


海里は何者かの手によってお姫様抱っこみたいに抱かれていた。


「大丈夫か海里!?」


聞き覚えのある声…?


顔を上げる。


陸…!?何で!?


瞬きはできるがやはり声は出ない。微かに口がパクパク動く。


四季も驚いている。


「誰だ貴様らは!」

「海里の友達よ!」


急に突風が吹いた。


‥風歌!?


仮面の男の前に立ちはだかる風歌。


「海里、助けに来たよ!」


にっこりと微笑む。


「何笑ってやがる!!小娘が!!!」


風歌に向かって斬りかかった。


危ない!!


が、それは空振りに終わった。


「なっ…?!消えた!!?」


慌てて辺りを見回す男。


『戦霊乱風!!』


男の頭上が淡い緑色に輝いた。


え??これはまさか共鳴音!?


「上だと!?」


『風刃翔!!』


風が刃のように何度も男を切り裂いた。


もはや鎧は何の意味もなくなってしまっていた。


「ぐぁぁぁぁっ!!」


倒れる仮面の男。


ARMSが音をたてて陸の足下に転がった。


「ぐぅ…っ!!」


もだえる。


嘘!?風歌って共鳴者だったの?!!


風歌に眼が釘つけ状態になる海里と四季。


「まだ死なないなんて、凄い生命力してますね…。」


男を見下ろす。


「最後にレーダーが反応したのは貴様か!しかし何故ここに貴様が?!」


「反応?」


陸を見る風歌。


陸は首を左に傾ける。


「何の事か知らないけど、自分が置かれてる状況を分かっていないみたいですね。」


バンッ!と男がつけていた仮面を足で蹴り飛ばす。


仮面は吹っ飛び、カランと落ちた。


「あなたでしたか、凩(こがらし)さん。お久しぶりですね。」