風の歌


「わぁ…何かすご…」


「…やっぱり驚くよなぁ。俺も最初ビビったもん」





――ここが、ARMS研究所。



……何かすごぉーく不気味なんですけど……
想像とかなりかけ離れてるよ…


研究所と言おうにも全然全く研究所には見えない外観で、まるで幽霊屋敷みたいな感じである。


…私、どうなるのかな?


「ヴァンナー、メルフェンサー…私、本当に着いて来て良かったの?」

『心配?まぁ大丈夫よ。』
「大丈夫って…どこからそんな根拠が…」

「海里ちゃん、誰かと喋ってるのか?」

「え?…えと、この2人の声、聞こえませんか?」


メルフェンサーとヴァンナーを手に取り、陽に見せた。


「ARMSってしゃべれるのか!?」

「喋れますけど…」


他の人には2人の声は聞こえないんだ。

そういえば陸達にも聞こえてなかったんだよな。


「星!知ってたか!?ARMSって喋れるんだな!!!」


がしっと星の肩をつかんだ。かなり興奮しているようだ。


「…ウゼーよ」


パンッと振り払う。
そして、ヴァンナーとメルフェンサーを見た。


「なっ、何よ…?」

「別に…。馬鹿のARMS何て興味ねぇし」

「何ですと!!」

「陽、話を聞きたいのはわかるがさっさと行こうぜ。空に報告しねぇと」

「あ…そうだな。じゃあ海里ちゃん、後で詳しく話し聞いても良いかな?多分、空も知りたがるだろうし」

「…空って誰ですか?」

「ここで1番偉い人」


そう言うと、2人は歩きだした。


『…あの星って人……』


メルフェンサーがぼそりと呟く。


「どうかしたの?」

『ううん、何でもない。きっと気のせいだもの。何より「2つ」じゃないし…』

「2つって?」

『気にしなくていいわ!』


「……?…うん」


変なメルフェンサー。どうかしたのかな?


と思いつつも星に文句を言われるのは嫌なので、急いで2人の後を追いかけて行った。