葉山くんのような明るい人にも何か悩みがあるのだろうか。
葉山くんは、いつも100%の笑顔で笑っている。
だから、あっち側の人間だとしても、それはあの笑顔があるのだから、当たり前だと思う。
葉山くんは少し止まっていたが、そのあとから
「そういや、お前、すっごい歌上手いな!!」
「私のって上手…なの?」
人と比べたことがないから、わからない。
まぁ友達なんていないから、カラオケとかも行かないしな。
「超上手い。そのへんのやつらより何倍も。」
「……ありがとう。」
初めて褒められて、素直に嬉しい。
唯一の私の取り柄。
ずっと誰にも見せるつもりはなかったから、私にとっては思いがけない出会いで。
葉山くんって、私が勝手にあっち側ってだけで遠くみてたけど、案外普通に話してくれてる。
私がメガネつけてて、帽子で髪を隠してるからかな。

