生ぬるい風が私の少し茶色髪を揺らす。
新川 絢香(あらかわ あやか)。
高校1年生。
綺麗な顔立ちで元々太りにくい体質だった私は、今まで幾度となくモテてきた。
その度に私は女子の標的となった。
特に意識していたわけではないのに
『あの子、男子の前では声高くなるから』
『男子と話すときしか笑わない』
と、好き勝手な噂は流れ
誰一人として、その噂に惑わされない人はいなかった。
皆が私が悪いと決めつけ、指差し、嘲笑った。
人と関わったって、ろくなことがなかった。
これからもないに決まってる。
幸い高校になってからは、なにもせず一人でいれば、笑われることも、標的にされることもなく、穏やかでいられた。
ただ、誰とも関わることができずに、友達もできず、いつもひっそり息を殺していた。