寂しくて、怖くて、誰かに抱き締めて貰いたかったのは、私。

そんな私を抱き締めてあげたかったのも…私。

(捨華、あんた…私だったんだね。)

私の心の中で、捨華は満足そうに頷いた。

(やっと、花音をここまで連れてこれた…途中、もう駄目かと思っていました。)
(ほんとに私が捨華?なんで…)

(花音、人は誰しも欠点があるし、失敗もします。でも、自分である程度それを許し、折り合いをつけて行かなければ生きて行けない。あなたの様に、いつまでもウジウジとこだわって、膝を抱えていては前に進めません。嫌いな自分を責めるばかりでは…生き延びる事は出来ないのです。)

(だって…自分を許すなんて甘えじゃん。自分を好きだなんて、ただのナルだし。)

(花音がそうやって、自己愛を拒絶するから…私は花音以外の者になるしかなかったのです。私は自分自身に「捨」てられた「華」音。)

(私が私を捨てた…)