占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚

「……どうかしたのか?」

「え!?い、いえ…べ、別に…
あ、今更ですが…ご実家はどんなお仕事をされてるんですか?」

「建築と不動産がメインだ。」

「そ、そうなんですね。」



って、結婚相手の実家の職業も知らないなんて、本当にむちゃくちゃだよね。
いくらわけありの夫婦だからって、無頓着過ぎたかも。
でも、とにかく慌ただしくて、ゆっくり話をする機会さえなかったもんなぁ…



(あ……!)



「あの、前から気になってたことがあるんですが…」

「なんだ?」

「あの…那月さんはハーフ…さんですか?」

「は?」

「だ、だって、目の色が…」

那月さんは呆れたように溜息を一つ落とした。



「カラコンに決まってるだろう?
それに両親にも会ったはずだ。
日本人の両親から、ハーフが生まれるはずないだろ。」

「あ、あは、あはは。
そうですよね。」

つまらないことを聞いてしまった。
でも、前から気になってたことがすっきりして良かった。



「そんなことはともかく、明日にでも食事会用の服を買いに行こう。
あ、和服はどうだ?」

「え?和服って着物ですよね。
私、和服はほとんど着たことありません。」

「そうか、考えてみれば仕立てるのに時間もかかるし、今回は和服は無理だな。
でも、とりあえず作りに行こう。
いずれ必要になるだろうからな。」

「そ、そうなんですか。」



すっかり忘れてたけど、これからはパーティ的な所にも顔を出さなきゃいけないんだ。
きっと、和服を着るような機会もあるんだろうな。
成人式でさえ、私は洋服だったから、着物なんて着れる気がしないけど、そんなことも言ってられないんだね。



(なんだか大変そうだな…)



そう思ったらちょっとだけ、気持ちが重くなった。