占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚

「あ、あの…ご家族のことを教えていただけますか?」

今頃、家族のこともないもんだけど、結婚式までは本当に慌ただしくて、そんなこともちゃんと聞いていなかった。



「あぁ、もちろんだ。
基本的なことだから、しっかり覚えてくれ。」

そう言って、那月さんは紙になにかを書き始めた。
どうやら、名前を書いてるみたいだ。



「これが、家族の名前だ。」

那月さんが私の前に紙を差し出す。
なんと綺麗な字…書かれていたのは、ペン字の有段者みたいな文字だった。



『父・橘 那一(ともかず)
母・橘 美佐子
兄・橘  優紀
兄嫁・橘 伶佳』

紙には四人の名前が書いてあった。



「父方の祖父母はすでに亡くなった。
母方の祖父母は健在だが、疎遠だ。」

「そ、そうなんですね。」

そういえば、結婚式にも来られてなかった。
もしかして…なんか、わけあり…??



「兄嫁はけっこうきつい性格の女だから、気を付けろ。
いやなことを言われても受け流せ。
真に受ける必要はないからな。」

「は、はい、わかりました。」

なんだか、怖いな…
ちらっと見かけただけでも、なんかそういう雰囲気はあったけど、本当にそういう人だったんだ。



「兄は、その逆で穏やかで優しい男だ。
父は、そんな兄のことを頼りないと感じているようだ。」

「はぁ…」

確かに。
那月さんと比べると、お兄さんは本当に優しそうな方に見えた。
でも、なんでそんな人が、きつい性格のお嫁さんを迎えたんだろう?
あ、そっか。
そういう人だからこそ、きつい性格の人と合うのかな?