占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚





「あ、あの……」



しばらくして、私は居間に戻った。
那月さんは、ソファに座って本を読んでた。



謝らなきゃ…
あんな短絡的な行動…だめだよね。
うん、絶対に私が悪い。



「さっきはすまなかった。」

顔を上げた那月さんがそう言った。



「え?」

「俺は…思ったことをすぐに口に出してしまう。
それに、相手がいやがることがわからないんだ。」

どこか心細げな表情…いつも自信に満ち溢れた那月さんには不似合いで…
その顔を見たら、なんだか胸が締め付けられた。



「そ、そんなことありません!
私が悪いんです!」

「おまえは俺の訊いたことが気に障ったのだろう?
俺は、おまえを傷つけたのだろう?」

「わ、私は図太いから、傷ついたりしません!」

「しかし、さっきは…」

「あれは……」

適当なことを言ってすませようかとも思ったけど、やっぱり、ここはちゃんと話さなきゃいけないような気がした。



「小さな子供を抱えて、女性が生きていくのは簡単なことじゃありません。
どんなに困ることがあっても、頼る人もなく、それでも母は最大限の努力をして、私を育ててくれたんです。
だから、私は母に感謝してますし、尊敬もしています。
さっきの那月さんの言葉は、私達が貧乏から脱出するために何の努力もせず、まるでなまけてたかのように感じられました。
私は良いんです。
実際に家も追い出され、ネット難民になってるような情けない状態ですから。
でも、母のことをそんな風に言われるのは心外でした。
だから、腹が立ってしまったんです。」

「……そういうことか。
ありがとう、教えてくれて。」



那月さんの子供みたいな無垢な顔…
なんて、素直な人なんだろう…
なんだか、胸がきゅんと高鳴るのを感じた。