次の日、那月さんが私を連れて行ったのは、ブランドに詳しくない私でも名前だけは知ってる高級ブランド店だった。



『お客様、とてもお似合いですわよ。』



私にはまるでわからなかったけど、きっとそんなことを言ってるんだと思う。
外国の店員さんは、日本みたいに愛想が良くないって聞いたことがあったけど、けっこう愛想良いもん。
……そんなことはともかく、私はここでの支払いが怖いよ。
こんな高級ブランドショップの服って一体いくらするんだか…
カードは持ってるって言ってたけど、本当に大丈夫なのかな?
思ったより高くて、払えなくなったりしないのかな。



そんなことを心配しながら、私はまた着せ替え人形のようにあれこれ着替える。
着替えては那月さんに見てもらい、また新たな服に着替える。



「バッグはどうする?」

「バッグなら…」



言いかけてやめた。
今持ってるやつで良かったら、バッグはどうする?なんて聞かないもんね。



「お、おまかせします。」

「わかった。」



那月さんが、バッグを指さしながら店員さんに何かを言う。
そして……



「えっ!」



手渡された紙袋の山に、私は言葉も出なかった。



「とりあえず、この服とコートはここで着替えて行けば良い。」

「は、はい。」



はぁぁ…なんて柔らかくて暖かいんだろう。
きっと良い毛糸を使ってあるんだろうね。
コートもすっごく軽くて、暖かい。
5000円のコートも良いと思ってたけど、これはやっぱり格が違うよ。