占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚





「秘密よ。」



気が付けば、朝になってしまってた。
しかも、私は目が腫れ、酷い顔をしていて…
那月さん達が、昨夜、私達がどんな話をしていたのか、気にするのも無理はない。
だけど、沙也加さんは優雅に微笑み、「秘密よ。」と言うばかり。
那月さん達も、ついに諦めて、それ以上は昨夜のことを訊かなかった。







「じゃあ、またな!」



その日の夕方…私達は家に戻った。
多少疲れてはいたけれど、私は休むわけにはいかない。
これから、私の人生を賭けた大切なことを那月さんに言わなきゃいけない。



(沙也加さん…私、頑張るよ。
駄目で元々!
全力でぶち当たるよ!)



私は大きく深呼吸をする。



「那月さん、ちょっとお話があります!」

「話…?なんだ?大きな声を出して…」

私は那月さんの真向かいに座った。



「那月さん!この前のお話ですが、承服出来ません!」

「この前の話…?別れるって話か。
あれならもう決まったことだ。」

「いいえ!わ、私、そう簡単にあなたのことを諦められません!」

「なぜだ?金もこの家もやると言っただろう?
それ以上に何か欲しいものでもあるのか?」



那月さんのドライな言葉に、思わず心が折れそうになる。
でも、そんなことでくじけちゃいられない。
今、再び、大きく息を吸い込んで…



「私……あなたが好きです!」



那月さんの顔が険しいものに変わった。



「なぜ、今更そんな嘘を言う?」

「嘘じゃありません!
私、本当にあなたのことが好きなんです!」

「ありえない。
俺達は、仮初めの夫婦だ。
俺が自分勝手な理由で、強制的に結婚した。
そんな俺のことを好きになる道理がない。」

「好きという感情は、理屈じゃありません。
確かに最初は驚きました。
打算もありました。
でも、あなたと一緒に暮らしているうちに、あなたのことを好きになってしまったんです!」

那月さんの眉間の皺がさらに深く刻まれた。