「来てくれてありがとう。」

「こちらこそ…お招き、どうもありがとう。」



土曜日、那月さんは沙也加さんをうちに招いた。
沙也加さんのお宅だと、他のご家族がいて話がし辛いからだった。
最初はどこか他所のお店で会おうとか言ってたんだけど、長くなるかもしれないからと思い直し、うちで会うことになった。



今日も沙也加さんはどこかの国のお姫様みたいに美しい。
お土産に持って来てくれた可憐な花束が、とても良く似合う。



「素敵なお家ね。」

「愛想のない家だろ?」

「そんなことないわ。
でも、これはなっちゃんのセンスね。」

「わかるか?」

「ええ、もちろん…」



さすがは沙也加さんだ。
と、いうか、この二人…本当に仲が良さそう。
私は話にもなかなか入って行けず、ただ曖昧に笑うだけだった。



「さーや、今日はちょっと話したいことがあって…」

「そうだと思ってたわ。
どんなことなの?
なにか、あったの?」

「実は…優紀が離婚した。」

「えっ!?」

沙也加さんの驚きは思ってたよりも大きなものだった。



「な、なぜ?どうしてそんなことに…?」

「優紀が結婚した時にも言っただろ?
あの結婚は、親が決めたようなものだって。
優紀は元々伶佳のことが好きじゃなかった。
そして、伶佳にも他に好きな奴がいた。」

「でも……どうして、今になって……」

「伶佳は、体裁よりも自分の気持ちを優先させることにしたんだ。」

「そんな……」

沙也加さんは、かなり動揺している。
目が泳いでるし、手が震えてる…
よほど、びっくりしたんだな。