だったら、那月さんにもまだチャンスはあるかもしれない。
どうせなら、だめ元でもやってみる価値はあるんじゃないだろうか?



(でも……)



そのためには、私が身を引くしかない。



(うっ……)



考えただけで辛くて涙が出て来たよ。
だって、私は那月さんのことが好きなんだもの。



でも……
本当に那月さんのことを思うのなら…
やっぱり、私が身を引くしかないんじゃないだろうか?



私は絶体絶命のピンチを那月さんに救ってもらった。
この二年近くの間、今までの私なら、出来るはずもなかった贅沢な暮らしをさせてもらった。



(そうだよね…もうそろそろ魔法が解ける頃だよね…)



那月さんには幸せになってもらわなきゃ…



それが、私に出来る唯一の恩返しだよ…