占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚





「じゃあ、行って来る。」

「行ってらっしゃい。」



次の朝、那月さんと一緒に朝食を摂った。
最近の那月さんは早くに家を出てたから、久しぶりのことだった。
特になにか話をしたということはなかったけれど、一緒に朝食を食べられたことだけで、私はとても嬉しかった。



那月さんはただ黙々と食事をしていた。
でも、その表情は、なんとなく落ち着いているようで…



昨夜、最近のことを話してくれたことで、那月さんもどこか心の中がすっきりしたのかな?…なんて、思ったり…



(だったら、良いな。)



私は非力だから…
出来ることなんて、ないに等しいけど、話を聞くことくらいなら出来る。
だから、何でも話してほしい…



那月さんを見送り、そんなことを考えている時、電話の着信があった。



「奥様、お電話です。」

「え?」

滅多に電話なんて掛かって来ないから、ちょっとびっくりした。



(誰からだろう?)



「は、はい。」

「あかね様ですか?」

「は、はい。」

相手は聞き覚えのない声の女性だった。



「もしもし、あかねさん?」

急に男性の声に変わったから、ちょっと驚く。



「はい、あかねですが、あなたは…?」

「優紀です。」

「えっ!優紀さん?し、失礼しました。
あ、あの、那月さんならもう出かけましたが…」

「いえ、あなたに用があるんです。」

「えっ!?」



優紀さんと会う約束をした。
仕事が終わってから、二人っきりで会いたいって…
しかも、そのことは那月さんには言うなってことで…



何だろう…?
私に一体、どんな話があるっていうんだろう?
約束の時間まで、私は全く落ち着くことが出来なかった。