占いのお陰でシンデレラになれました!~奇跡の偽装結婚

那月さんの目が、なにかとても寂しそうに見えた。



「俺と……別れてくれ。」

「え…えっ!?」



びっくりし過ぎて、心臓が口から飛び出しそうになった。
今の那月さんの言葉を、私はもう一度思い出す。



『俺と別れてくれ。』



那月さんは確かにそう言った。
『俺』っていうのは、もちろん那月さんだ。
『別れてくれ』って、頼まれてるのは、私…だよね??



「あ、あの…ど、どうして?
どうして、別れなきゃいけないんですか?
私、何かへましましたか?」

那月さんは、俯いたまま首を振る。



「悪いのはおまえじゃない。俺だ。」

「どういうことなんですか?
もっとちゃんと話してくれないと、わかりません。」

興奮して、声の震えが押さえられない。
でも、ここはちゃんと聞いとかないと…



「……それもそうだな。」

那月さんはそう言って、ペットボトルの水を一口飲み、顔を上げた。



「……伶佳のこと以上に大変なことが起こったんだ。」

「大変なことって…何があったんですか?」

「優紀は、新規開拓した取引先から資材を購入した。
やつにとっては、今までで一番大きな取引だった。
ところが、それは国の基準を満たさない不良品だったんだ…」

那月さんは苦々しい表情で説明してくれた。



不良品だったってことは…優紀さんは、ものすごく大きな損害を被ってしまったって…
つまりはそういうことだよね?