次の朝、那月さんはいつもとまるで変わらない様子だった。
優紀さんとあれからどうなったのか、何か聞けたのか、とても気にはなってたけど、朝は和代さんがいるし、私から訊くのもどうかと思って我慢していた。



「では、行ってまいります。」

昼近くになると、和代さんはいつも夕食の買い物に出る。



「行ってらっしゃい。」

和代さんを送り出すと、那月さんが私の腕を引っ張った。
昨夜、優紀さんから何か聞き出せたんだって、直感した。



「昨夜のことなんだが…」

「何か、わかったんですね?」

那月さんは深く頷く。



「昨夜は優紀もだいぶ飲んでな…それでようやく口を滑らしたんだ。」

「それで、なんだったんですか?」

「伶佳とうまくいってないみたいだ。」

「やっぱり…それで、相手の女性のことは伶佳さんにはバレてないんですか?」

「相手の女性?
何を言っている。
浮気をしているのは、伶佳の方だぞ。」

「えっ!?」



那月さんの言葉は、思いがけないものだった。
私はてっきり、優紀さんが浮気してるのかと思っていたから。



(あ……)



今の話を聞いて、カードの言ってる意味が分かったような気がした。
予期せぬ災難っていうのは、伶佳さんの浮気のこと。
でも、それは優紀さんが許してあげることで、二人は復活出来る…



(そっか、そういうことだったんだ…)