「あかねさん、お帰りなさい。」

家にはまだ優紀さんがいて、頬は薄い赤に染まり、何となく機嫌の良い顔をされていた。



「せっかく来て下さったのに、お留守にしてすみません。」

「いえいえ、お気になさらずに…」

「疲れただろう…俺達のことは良いから、お前は早く寝なさい。」

そう言いながら、那月さんは私に小さく目配せをした。



「は、はい、わかりました。
では、優紀さん、お先に休ませていただきます。
おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」

私は、自分の部屋に戻った。



今の雰囲気だと、優紀さんはまだ当分帰りそうにない。
那月さんのあの目配せは、きっと『俺に任せろ。』ってことなんだろう。
私がいない方が優紀さんだって話しやすいはずだし、酔ってらっしゃるみたいだから、ガードも緩くなってるのかも…



気にはなるけど、今、私には出来ることはなさそうだ。
優紀さんのことは、那月さんにすべて任せることにしよう。



ちょっと申し訳ないような気もするけれど、そう考えて私はお風呂に入り、横になった。