「じゃあ、優紀さん、どうぞ、ごゆっくり。」

「ありがとう。お気を付けて。」



それから一週間もしないうちに、チャンスはやって来た。
優紀さんがうちに遊びに来るって、連絡があったんだ。
私は予定通り、外出することにした。



長居をするには、ファミレスが一番だ。
ファミレスまでは地下鉄で二駅だけど、時間もあることだし、散歩がてら歩いて行くことにした。



以前も良く歩いたっけ…
でも、当時はお金がもったいなくて節約のために歩いてただけで、今とはまるで違う。



本当に、私は、今、幸せだって思える…
那月さんに、女性として愛されることはないけど、同居人としてはずいぶん認められてきたと思う。
好かれてはないけど、嫌われてはないと思うし、それなりに気の合う所もあうんじゃないかって、そんな風に思うこともある。



私は那月さんに感謝してる。
そして、それ以上の想いもあることはあるけれど…
それは叶わない想いだってこともわかってる。



久しぶりに一人で街を歩きながら、私はぼんやりとそんなことを考えていた。