「……こういうのは勝ち負けじゃないですよ。
勝ち負けだったら、あかねを選ぶはずがないじゃないですか。
あかねがさーやに勝ってるものなんて、なにもありませんから。」

確かにその通りだけど、そんなはっきり言わなくても…
なんか、凹むんですけど…



「お父様、なっちゃんはあかねさんを愛してらっしゃるんです。
ただ、それだけですわ。」

お父さんは、悔しそうな顔で拳を握り締め…そして、グラスの中のお酒をぐいと飲みほした。



「済まなかったな、那月君。
どうやら僕は少し飲み過ぎたようだ。」

「そうですわ。
お父様はあまりお酒がお強くないのですから。
あ、アイスクリームはいかがですか？」

「そうだな、いただこう。
みんなも食べるだろ？」

しばらくすると、まるで喫茶店で食べる時みたいに綺麗に盛り付けられたアイスクリームが運ばれて来た。
新鮮なフルーツが輝いてるよ。



（うっ、なんて濃厚なアイス…！）

なんか私が今まで食べてたアイスとは明らかに違う。
しかも、フルーツの美味しいこと！
甘くて、良い香りにくらくらしそうだよ。
最近、私もずいぶんお金持ちの暮らしに慣れて来たと思ってたけど、まだまだだなぁ…なんて思ったり。