愛の物語






クラス表で自分たちの名前を探していると、予鈴がなった。

お兄ちゃんと私の名前だけ探して、A組に向かう。

「お兄ちゃん急いで。」

「おう。」

教室に入るとみんなはもうすでに座っており、私たちに視線が注がれた。

自分の席を確認して、周りを見渡すと何人か髪の色がカラフルな人たちがいる。

海虎のメンバーではなさそうだ。

私が警戒心を持っていると、お兄ちゃんが話しかけに行った。

「よう。春休みぶりか?」

「ああ。そうだな。海虎のメンバーとはクラスが離れたのか?」

何人かの内の一人が無表情で言った。

その人の目には光が映っていなかった。

「そうみたいだ。美愛、来て。」

お兄ちゃんが私を呼ぶと、カラフルな髪の人たちが私のほうを見た。

「うん。」

「俺の妹の美愛だ。海虎の姫になってる。」

「どうも。土方美愛です。あなたたちは?」

私がそう言うと、みんなそれぞれに自己紹介が始まった。

「海虎と同盟を組んでいる盟狐の総長、河野悠斗だ。」

さっきお兄ちゃんが話しかけに言った人は河野悠斗という名前らしい。

「副総長の唐沢志乃です。よろしく。」

「幹部の一人で仁科孝平。」

「同じく御園翔。よろしく。」

「幹部で盟孤の料理担当、菅野裕貴です。よろしくね。」

「村越夜、俺に関わるな。」

「おい、夜!何言ってんだよ。仲良くな。」

そう村越さんをなだめたのは御園さんだった。

そこで先生が入ってきて、入学式の会場に向かった。

「お兄ちゃん、同盟なんていたんだ。ぜんぜん知らなかった。」

「ごめんな。近々抗争があるから黙っておきたかったんだけど。」

「そうだったんだ。」

私たちは隣に並んで歩き始めた。

私たちが通っている高校は県内でも一番の偏差値を誇るところだ。

でもそれ故に、成績と授業態度さえ悪くなければ犯罪以外何をしてもいい。

だからこの高校ではさっきの盟狐のように髪を染めていても怒られない。

でもやっぱり進学校だけあって真面目な格好をしている人のほうが多い。