凶蛇が私たちの倉庫の前にやってきた。

私と優衣は幹部室でみんなの無事を祈りながらずっと待っている。

今までの抗争でも危ないところはあったけど、それでも誰一人命を落とすことなんてなかった。
だから今度も大丈夫だよね。

凶蛇は後ろに組が付いてるからか、いろんな武器を持っている。
ドスにバット、拳銃それから模擬刀まで持っている人もいた。

いよいよ抗争が始まった。

私は初めてじゃないから大丈夫だけど、優衣は初めての抗争だからかすごく震えていた。

私は優衣を抱きしめ、大丈夫だよって背中をさすってあげる。

そしてお昼頃、なり続けていた金属音が止んだ。

終わったのかな?

私は幹部室の扉を開いた。

扉を開けるとそこにはちょうど幹部室に上がってきていたジョンくんがいた。

「ジョンくん、終わったの?」

「うん。抗争は僕たちの勝ちだよ。でも、龍兎が…龍兎が怪我をした。
昨日の話だとすぐに治るはずなのに全く傷が塞がらないんだ。血も止まらない。ねえ、美愛どうしたらいい?」

ジョンくんは泣きそうな顔で私に問いかけた。

お兄ちゃんの怪我が治らない?どうして?何があったの?

「ジョンくん、とりあえずお兄ちゃんをここに連れてきて。お願い。」

私はそう言って電話をかけた。

「もしもし?美愛?どうしたの?」

「お母さん、お兄ちゃんが怪我したの…いつもなら治るのに傷が塞がらない。どうしよう。」

「わかった。私がそっちに行くわ。今どこにいるの?」

「倉庫にいる。さっきまで抗争があって。」

お母さんには無力な私と違って、人を治せる力がある。お母さんになら治せるかもしれない。

おねがい、早く来てお母さん。