「私、いつの間に姫になってたの?」

「それ言おうと思ってたんだけど、2ヶ月が過ぎてもこの暴走族の姫になって私たちといてくれないかな?」

私が優衣の目をしっかり見ていると優衣は嬉しそうに頷いた。

「うん!私で良ければよろしくね!」

「もちろん!」

優衣にも無事承諾を得たところで今日から海虎の姫は二人になった。

「ねぇ、お兄ちゃん。」

「なんだ?」

「私、ピアス開けてないよ。」

「忘れてた。母さんと父さんに電話して今日開けよう。」

「わかった。」

少し怖いけど海虎の証であるこのピアスが付けられるなら私は痛みを我慢できる。

「ねぇ、龍兎くん。一応、私ピアスの穴あるから付けてくれない?1人で付けられないの。」

優衣はピアスを付けるのに苦戦していて最終手段でお兄ちゃんに頼んだみたい。

私は二人の邪魔をしないようにジョンくんのところに行った。

「ジョンくんはもう付けた?」

「うん。付けたよ。美愛も付けてあげようか。」

「私はいい。まだピアスの穴開けてないから。それよりさ!あの二人どう思う?」

「龍兎と優衣?うーん、悔しいけど龍兎は僕達より優衣に心を開いてる。もちろん美愛には負けるけど。」

ジョンくんは少しすねたようにそう言った。

「それに美愛も僕達に隠し事してるでしょ。」

「よくわかったね。」

「僕達のことが信用出来ない?」

「そんなことないよ。なんなら今からでも言える。
でも私たちの秘密を知ってあなた達はどう感じるかな。」

最後の1行はなんの感情も込めずに言った。

「それでも僕らは、僕だけは美愛達のことを嫌ったりしない。」

ジョンくんは真剣な表情で、真剣な声色でそう言ってくれた。

「ありがとう。私はその言葉を信じる。裏切らないでね。」

私はそう言って優衣に近寄っていった。

「優衣〜。付けられた?」

「うん!どうかな?似合う?」

「うん!すっごく似合ってる!お風呂入る時も外しちゃダメだよ。いつでも私達は一緒なんだからね!」

「分かってるよ!」

優衣は嬉しそうに頷いた。