優衣と話していたら、帰ってきたらしいみんなが幹部室に入ってきた。

「おかえりー。靖人くんがみんな集まったら下に来てだって。」

「うん、ただいまぁー。珍しいね靖人がみんなを呼ぶなんて。」

ジョンくんが言った言葉にお兄ちゃん以外のみんなが頷いた。

「龍兎はなんか知ってるみたいだね。」

無口の影近くんがお兄ちゃんの変化に気付いた。

「本当ですね。美愛のこと以外では笑わない龍兎が笑っている。どういうことでしょうか。」

「下に行けば全部分かるよ。」

私は優衣の手を引いて下に向かった。

「全員揃ってるみたいだね。」

私は靖人くんの隣に立ってそう言った。

「うん。あとは龍兎が話すの待つだけ。」

靖人くんはいつもの甘えた声でお兄ちゃんを見ていた。

「みんな集まったか。始めるぞ。
まず、幹部以外は俺の前に並んでくれ。」

お兄ちゃんは靖人くんから紙袋を受け取り、色分けされているそれをみんなに手渡ししていった。

「これの説明は全員に配り終わってからする。だからまだ開けないでくれ。」

ウン百人といる海虎のメンバー一人一人に言葉とピアスを渡していた。

全員に配り終わると、私と優衣にもそれを渡した。

「開けてみてくれ。」

お兄ちゃんが言い終わるのと同時にみんなは箱を開けていた。

「ピアス?」

「あぁ。総長の俺は赤、そして幹部は紫、次の幹部候補には青、それ以外の奴らは黒だ。そして我らが姫の美愛と優衣は桃色だ。なお、幹部候補はこれからの活躍次第で変動していく。だからみんな気を抜かずに頑張ってくれ。ただしケガだけはするな!わかったな。」

お兄ちゃんはそう言うと誰よりも早くピアスを耳に付けた。

それを見て下っ端のみんなも順番に付けていた。

「くそぉー俺幹部になりたかったのにな。でも俺もなれるように頑張るぞ!」

「俺幹部候補になれたんだ!やったぁ!!この功績に見合う働きをするぞ!」

みんなの感情はそれぞれだけどこのピアスに対する反対はなかったようだった。