学校が終わり盟狐のメンバーで御園財閥御曹司の御園さんに車を頼んでお兄ちゃんがスバルに向かった。

「ねぇ、美愛。美愛のために了承したけど、女がくるんだよね。俺は関わらなくてもいい?」

「どうしてもいやだって言うならいいよ。私が上沢さんと仲良くなりたいだけだし。女嫌いの靖人くんに無理してもらうこともないからね。」

私は靖人くんにそう告げ、総長室の軽い掃除を始めた。

総長室は仮眠するときにしか使わないし、最近はなおのこと使ってないから少し埃がある。

だから今から来る上沢さんに不快な思いをさせないように隅々まできれいにした。

やがて、外から車のドアを閉める音が聞こえたので私は掃除を終了させ、上沢さんを迎えに行った。

「おかえりお兄ちゃん、上沢さん。」

「おう、ただいま。」

「こんにちは。」

「二ヶ月間はここが上沢さんの家だから、学校から帰ってきたらただいまを言うこと。」

「わかった。土方さん。」

「それと私のことは美愛って呼んで?私も上沢さんのことは優衣って呼ぶから。」

「うん。美愛。これからよろしく。土方さん。」

「俺のことは龍兎でいい。」

「龍兎くん?」

「まあそれでいい。」

優衣の瞳には最初は見えなかった光が少しずつ戻ってきてるような気がした。

私たちは総長室に移動して、荷物の整理を全部終わらせた。

「ねぇ優衣。これからは、友達としてよろしくね。」

「私みたいな汚れた女が美愛みたいなきれいな子と仲良くできない。」

「優衣は汚れてないよ。」

「私のこと何も知らないでしょ。職員に暴力を振るわれてることしか知らないくせに。」

優衣は目尻に涙を溜めて、そう言った。

「私は優衣のこと何も知らない。だって優衣とはまだあんまり話したことがないから。でも私は何も知らなくても優衣は汚れてないと言えるよ。だから何があったのか教えて。」

「私は汚れてる。そう言う理由は...。」