上沢さんを説得するため私たちは学校で上沢さんを見つけ、話しかけに行っていた。

「ねぇ上沢さん。上沢さんはスバルという養護施設に住んでるんだよね。そしてあと二ヶ月ほどで一人暮らしをするのね?」

「どうしてそこまで知っているんですか?」

「私もいろいろと事情があって勝手に調べさせてもらったわ。」

「そうだったんですか。で、用件は?」

「あと二ヶ月あなたが一人暮らしをするまで私たちの倉庫で暮らさない?」

「いやです。」

「そう言うと思った。あなた施設の職員に暴力を振るわれている。違う?」

「確かにそうですけど。」

「上沢さんも殴られるのはいやだよね。」

「わかりました。私が一人暮らしを始めるまでの二ヶ月間だけ。」

思ったより、簡単に承諾を得られた。

「じゃあ今日帰ったら早速お兄ちゃんが迎えに行くから。」

私は時計を見て自分の教室に戻った。

帰り際に、上沢さんと同じクラスだったジョンくんにどうだったか聞かれ、うなずいた。