盟狐のメンバーも揃い、ジュースを買いに行っていた裕輔くんも戻ってきたところで幹部同士の会合が始まった。

「お前らも知ってるとは思うが、近々凶蛇との抗争が始まる。あいつらが襲撃してくるのは4月20日だ。それまでに族全体の強化をする。」

「具体的には何を?」

「全員で無駄のない喧嘩の特訓。凶蛇が銃を使ってくる可能性は高い。そこでエアガンを使った銃弾をよける練習をする。」

「それをこの短期間で身につけるのか。」

「ああ。」

「わかった。俺たち盟狐の全メンバーをこの倉庫に集め今からでもできるように準備しておこう。」

「頼んだ。それまでは全員この倉庫に寝泊りしてもらってもかまわない。」

龍兎は制服のままだったので着替えるために一度総長室に入っていった。

私は龍兎のあとを追って総長室に入った。

「お兄ちゃん私の服も取って。」

「おう。お前も着替えるのか?」

「うん。せっかくの制服がしわになっちゃうからね。」

私はお兄ちゃんから私服を受け取って、バスルームへ入った。

「お兄ちゃん、私は抗争のときどうしたらいいの?いつものように家にこもってたらいい?」

「ああ、一日どこにも出ないでくれ。それと上沢のことも家で預かっていてくれ。」

「いいけど。どういうこと?」

私は脱いだ制服を持ってバスルームを出た。

「上沢と俺がかかわりをもったことがいつ凶蛇に知られてもおかしくないからな。」

「そういうことね。わかった。早いうちに上沢さんを私たちの家に連れて行く。」

私はそう言って総長室を出ようとした。

「ねえ、あの子を二ヶ月の間ここにおいて置くなら部屋はどうするの?余ってる部屋なんてないよ。」

「そのことだが、総長室を貸してやろうかと思ってる。ほかの幹部の部屋をとも思ったがあいつらはたまにこの倉庫に泊まることがあるからな。」

「じゃあ明日にでも身の回りのものを持ってきてもらわないとだね。」

「ああ。あいつのことは女であるお前に頼んでもいいか?」

「わかった。そういうことなら任せて。」

話がひと段落したところで私は部屋を出た。