翌日。仕事終わり。私は何度も時計を確認しながら時間が過ぎるのを待っていた。
就業終了の合図のベルが鳴ったと同時に私は立ち上がった。


「楓、頑張るんだよ」


律ちゃんがガッツポーズをしながらそう言う。私はそれに頷いた。


「小野寺さん、なんかあったら連絡ください」


どこまでも頼りになる沖くん。でも頼らないように頑張る。自分で頑張る。



二人にさよならを告げると私はケイタイを取り出して丸山さんへと連絡をした。
今、終わりました。っと。


昨日、動揺を隠せないままレインを後にした私は会社に戻って、律ちゃんの顔を見るなり肩をがしっと掴み「どうしよう」と言った。
もちろんなんのことかわかっていない彼女は、目をぱちくりとさせている。そりゃそうだ。
さすがの律ちゃんも私の心までは読めない。

あらかた説明すると、律ちゃんは更に目をぱちぱちとさせていた。あんなに間抜けな顔をした律ちゃん初めて見た。
いつも律ちゃんはキリっとしていてカッコいいから。

昼から戻ってきた沖くんが私達に近付いて来る。彼にも同じ説明をすると、驚いた反応を見せた。


驚くのは当然だと思う。
だって、一番驚いているのは私だ。

それから仕事終わりに服装とかの相談に乗ってもらったのだ。