「え、と、いいんですか」
「もちろんですよ。誘ってもいいのなら。あ、じゃあ連絡先交換しますか?」
「え、あ、え、はいっ」
そう言うと私は慌ててカバンからケイタイを取り出した。
「ラインしてます?」
「してます」
「じゃ、ライン交換しましょ」
私のケイタイに入る彼の連絡先。アイコンはレインの看板。名前は《拓。》それだけ。
感動している私に、彼が申し訳なさそうに言った。
「あ、俺マメじゃないんで、返事遅くなったらすみません」
「全然」
私は首を振りながら答える。
「後、文字打つより電話しちゃう人なんですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
「よかった」
ほっとしたように胸を撫で下ろす彼。それから笑ってこっちを見る丸山さんに、私は胸がいっぱいだった。
こうして一緒に食事をしていることだけでも凄い嬉しいのに、まさか連絡先を交換出来るだなんて思ってもみなかった。
そこに注文したラーメンが運ばれてくる。目の前に置かれた久しぶりのラーメン。
彼が箸を渡してくれて、お礼を言いながら私は手を合わせた。
「いただきます」
パキっと割り箸を割ると、私は食べ始めようとしたが視線を感じてハッとした。


