「あはは、思わないですよ。私はレインの雰囲気と、ランチが好きで通っているので」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

「でも、たまにはラーメンとかガツンとカロリー高いものが食べたくなるかなって」

「えっ、ラーメン……、カフェにラーメンは流石におかしいですよね……」


真剣に悩みながら言う姿に私は目をぱちくりとさせた後、声を出して笑った。


「それは、ちょっと、あそこの雰囲気に合わないですよね、あはは、おかしい」

「俺、割と真剣ですよ。小野寺さんには通い続けてもらいたいので」

「なんか、通い続けてってまるで丸山さん、ホストみたいですね」

「なんなら接客しますか?」

「それじゃあ、私は指名しますね」


そう言った後に、二人して顔を見合わせてぷっと吹き出して笑った。
そんな話をしていたら待ち時間なんて感じなくて、あっという間に私の番になっていた。


「いらっしゃいませ、何名様ですか」

「あ、」
「二名です」


店員さんの質問にどうしようか迷っていたら、かぶせるように彼が言った。


「二名様、お席にご案内します」


店員に店内へと案内されて、先に入る彼の背中を追いかけるように私も中へと続いた。
カウンターに二人で並んで座る。距離が近くて、急にドキドキと心臓が鳴り始めた。
こんなに狭かったっけ。カウンターによく座っていたけれど、そんな風に感じたこと一度もない。